シェイプウェアの見積依頼(RFQ)では、「補整下着を作りたい」という概要だけでは十分ではありません。補整強度、サイズ設計、生地構成、縫製仕様、カラー、試験、梱包、取引条件までを同じ前提で提示して初めて、複数のサプライヤーから比較可能な見積もりを受け取れます。
本記事のshapewear RFQ template(シェイプウェアRFQテンプレート)は、OEM、ODM、プライベートブランドの調達担当者が、工場に推測をさせず、価格・品質・リードタイムの前提差を見抜くための実務用チェックリストです。未確定の項目は空欄にせず、「提案希望」「選択肢別に見積もり」と明記することが重要です。
製品範囲と販売ターゲットを最初に定義する
RFQの冒頭では、何を、誰に、どの市場向けに販売するのかを明確にします。ここが曖昧だと、工場ごとに想定する補整力、縫製グレード、表示仕様、品質水準が変わり、単価比較が成立しません。
最低限、次の内容を記載します。
- 製品カテゴリー:ハイウエストショーツ、ボディスーツ、ウエストニッパー、太もも丈ガードル、授乳対応補整下着など
- 着用目的:日常用、特別な衣装の下、産後向け、スポーツ時のサポート、体型補整重視など
- ターゲット顧客:年齢層、想定体型、着用シーン、価格帯
- 販売市場:日本国内、越境EC、特定地域向けなど
- 補整レベル:軽め・中程度・強め。可能であれば、部位別に指定
- 販売チャネル:自社EC、モール、店舗、卸売、セット販売の有無
- 希望する開発方式:既存型を活用したODM、金型・パターンから開発するOEM、既製品へのブランド付与など
- 対象SKU数と、カラー・サイズごとのSKU構成
たとえば「強補整」とだけ書くよりも、「腹部は中〜強補整、ヒップは丸みを損なわない立体設計、裾は食い込みを抑える仕様」のように部位別の意図を伝えた方が、素材選定と縫製提案の精度が上がります。
また、日本向けの場合は、単に海外のS・M・L表記を流用するのではなく、想定するヌード寸法、サイズ表記方法、許容するフィット感を依頼書に含めるべきです。サイズ感は返品率やレビュー評価にも影響しやすいため、後工程での修正コストを抑える重要な条件です。
RFQ冒頭の記載例
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 製品名 | ハイウエスト・ミドル補整ショーツ |
| 販売市場 | 日本国内の自社ECおよび卸売 |
| 顧客像 | 日常的に着用できる補整インナーを求める成人女性 |
| 補整設計 | 腹部:中補整/腰回り:中補整/ヒップ:立体保持重視 |
| 開発区分 | 既存パターンをベースにサイズ・仕様を調整するODMを希望 |
| 比較対象 | 初回発注と継続発注の両方を比較したい |
| 見積通貨・条件 | 通貨、インコタームズ、税・輸送費の扱いを指定 |
製品開発の範囲自体が未確定であれば、OEM・ODMの対応範囲のように、設計変更、サンプル作成、量産移行のどこまでを依頼したいのかを整理してからRFQを作ると効率的です。
図面・寸法表・参考サンプルを添付する
仕様を正しく伝えるうえで、文章だけに頼るのはリスクがあります。シェイプウェアは伸縮性が高く、平置き寸法だけでは最終的なフィット感を判断できません。前後のデザイン画、測定箇所を示した寸法表、縫製指示、参考写真を組み合わせて添付しましょう。
図面またはテックパックには、次の情報を入れます。
- 前面・背面・側面のデザイン画
- 切替線、パワーネット、裏当て、ボーン、滑り止めなどの位置
- ウエスト、ヒップ、股上、脚口、総丈などの測定箇所
- 各サイズの仕上がり寸法と許容差
- ホック、ファスナー、スナップ、肩紐など付属部品の位置と数量
- 縫い目の種類、縫い代、テープ処理、フラットシーマの要否
- ロゴ位置、洗濯表示位置、ブランドラベル位置
- パッドやクロッチの有無、取り外し可否
参考サンプルを送る場合は、「同一仕様での複製」を求めるのか、「補整感のみ参考にする」のかを区別してください。競合品や市販品を参照する際も、工場がどの要素を再現すべきか不明なままでは、期待と異なる提案になりがちです。
伸縮素材の寸法指定で確認すべきこと
伸縮性のある商品では、仕上がり寸法に加え、以下を確認します。
- 寸法は自然状態、軽く整えた状態、または規定荷重下のどれで測るか
- 生地の縦・横方向の伸長性と回復性
- 着用試験の対象体型と人数
- サイズ間のグレーディングルール
- 洗濯後の寸法変化の判定基準
- 左右差、縫いずれ、ねじれに対する許容範囲
「Mサイズのウエスト幅は○cm」と書くだけでは、強いパワー生地を前提とする工場と、柔らかい生地を前提とする工場で、着圧や着脱性が大きく異なる可能性があります。着用感に関する言葉は主観的になりやすいため、可能な範囲で比較サンプル、具体的な対象寸法、試着評価項目に置き換えることが有効です。
素材・副資材と代替案の条件を指定する
シェイプウェアの原価、着圧、耐久性、肌当たりは、主に生地と副資材で決まります。RFQでは素材名だけでなく、使用部位、混率、目付、機能、色、代替可否を明記します。
指定したい主な材料は以下のとおりです。
- 表地・パワーネット・裏地
- 腹部などの補整パネル
- クロッチ布
- レース、メッシュ、シームレス編地
- ウエストゴム、脚口テープ、滑り止めテープ
- ホック、スナップ、ファスナー、ボーン、肩紐アジャスター
- ネーム、洗濯表示、サイズラベル
- ラベル接着剤、袋、台紙などの梱包資材
素材指定では、「ナイロン/ポリウレタン混」のような大まかな表記だけでなく、確認したい性能を記載します。たとえば、透けにくさ、耐摩耗性、洗濯後の回復性、毛玉、色移り、肌側の触感、長時間着用時の蒸れにくさなどです。ただし、これらは素材単体だけでは決まらず、編み組織、染色、縫製、使用環境にも左右されます。必要な評価方法を併記することが重要です。
代替素材は「無条件可」にしない
生地供給や最低発注量の事情から、工場が代替素材を提案することは珍しくありません。代替を許容する場合は、以下のような境界条件を設定します。
- 代替提案は事前承認制とする
- 混率、目付、伸縮性、色、肌側の風合いを提示する
- 指定素材との差異と、単価・MOQ・納期への影響を明記する
- 補整パネルなど性能に直結する部位は代替不可とする
- サンプル承認後の素材変更は再承認対象とする
「同等品」との表現だけでは比較できません。工場ごとに同等と判断する範囲が異なるため、仕様値、サンプル、評価条件のいずれかで基準を共有してください。
カラー・サイズ・発注シナリオを明記する
RFQの単価は、総数量だけでなく、カラー数、サイズ数、サイズ別配分、発注回数で変わります。たとえば総数が同じでも、1色・3サイズの注文と、4色・6サイズの注文では、染色、裁断、在庫、検品、梱包の負担が異なります。
見積依頼では、少なくとも次を分けて提示します。
- 初回の想定発注数量
- カラー別・サイズ別の数量内訳
- 将来の追加発注または年間想定数量
- テスト販売用の少量発注の有無
- サイズ別に必要なサンプル数
- 希望カラーと、Pantoneなどの色基準がある場合の番号
- 定番色と季節色の区分
- 1カラー当たり、1サイズ当たりの最低数量条件を確認したい旨
数量が未定の場合でも、複数シナリオを示せば工場は条件別に回答できます。たとえば「初回1,000枚・3,000枚・5,000枚」のように段階を設け、各ケースの単価、開発費、型代、梱包費、リードタイムを分けて見積もるよう依頼します。
サイズレンジは販売計画と整合させる
サイズを増やすほど顧客の選択肢は広がりますが、パターン調整、資材管理、在庫リスクも増えます。特に補整下着は、サイズ間で単純に幅や丈を増減させるだけではフィット感が崩れることがあります。
サプライヤーには、以下を確認するとよいでしょう。
- 各サイズで使用するパターンの考え方
- サイズ間の補整感の一貫性
- 大きいサイズでの縫製・副資材仕様の変更有無
- サイズ別の生地用尺と価格差
- サイズ表、着用ガイド、注意書き作成に必要な情報
試験・品質基準・検品要件をリスト化する
「高品質」「不良なし」といった抽象的な依頼では、検査範囲も合否基準も合意できません。RFQには、試験、外観検品、寸法検査、出荷検査の要件を分けて記載します。
確認対象の例は次のとおりです。
- 繊維組成表示の確認
- 寸法および許容差
- 外観:汚れ、穴、引っかけ、色ムラ、縫い不良、左右差
- 縫い目の強度、付属部品の取り付け状態
- 色落ち、色移り、洗濯後の外観変化
- 伸縮性・回復性
- ホック、スナップ、ファスナーなどの開閉耐久性
- 包装状態、ラベル内容、バーコードの読み取り
- 出荷前検品の方式、抜取水準、検査記録の提供可否
日本で販売する商品では、家庭用品品質表示法など、対象商品に応じた表示上の確認が必要になる場合があります。RFQの段階で工場に法的判断を丸ごと委ねるのではなく、販売者側で必要な表示・安全・輸入関連の要件を確認し、それを仕様として提示する姿勢が安全です。
また、試験規格を指定する場合は、規格番号だけでなく、対象部位、試験条件、合格基準、誰が費用を負担するか、再試験が必要になった場合の扱いを明確にします。試験機関の指定が必要な場合も、依頼書に記載します。
量産時の確認項目を体系化したい場合は、品質保証に関する考え方を参照しながら、自社の検品基準書とサンプル承認手順を整えるとよいでしょう。
ブランド表示・梱包・納品条件を具体化する
ブランド関連の仕様は、商品本体の完成後に決める項目ではありません。織ネーム、洗濯表示、個包装、台紙、外箱、バーコードは、資材の手配、最低発注量、作業時間、輸送効率に影響します。
RFQには以下を含めます。
- ブランドネームの種類:織ネーム、プリントネーム、転写など
- ロゴデータの支給状況とファイル形式
- 洗濯表示・サイズラベル・原産国表示の責任分担
- 個包装:ポリ袋、紙帯、箱、吊り下げフックの有無
- 台紙、説明書、同梱物のサイズ・言語・印刷色数
- JANコードなどのバーコード仕様、貼付位置
- 内箱・外箱の入数、外箱表示、パレット条件
- 環境配慮型包装を希望する場合の具体的な制約
- 輸送方法、出荷地、納品先、希望インコタームズ
- 希望納期の基準日:工場出荷日か、指定倉庫到着日か
納期は「30日」とだけ書かず、起算点を明確にしてください。たとえば、サンプル承認日、資材入荷日、発注書受領日、前金受領日など、工場側が前提とする開始日が異なるためです。
輸送費についても、商品単価に含まれるのか、別建てなのかを区別します。見積比較では、工場出荷価格が低く見えても、梱包仕様や輸送条件の違いで着地原価が逆転することがあります。
前提条件・除外項目・見積有効期限を要求する
見積書の数字だけを比較すると、見えない前提条件を見落とします。RFQでは、各サプライヤーに対して「見積もりの前提」「含まれない費用」「価格が変動する条件」を明記するよう求めましょう。
依頼すべき項目は以下です。
- 単価に含む費用:材料、裁断、縫製、検品、個包装、外箱など
- 別途費用:パターン作成、サンプル、金型、印刷版、試験、輸送、通関関連など
- MOQ:製品全体、カラー別、サイズ別、資材別
- サンプル費用、サンプル回数、修正回数
- 支払条件と支払通貨
- 通貨・原材料・輸送費の変動時の価格調整条件
- 生産リードタイムと、その前提となる承認・支給・入金条件
- 見積有効期限
- 仕様変更、数量変更、カラー追加時の再見積条件
- 不可抗力や材料供給遅延が発生した場合の連絡・対応方法
特に注意したいのは、「サンプル費用は量産時に相殺される」という表現です。相殺の対象数量、相殺額、相殺期限、キャンセル時の扱いが書かれていなければ、実質的な条件は比較できません。
サプライヤーに記載を求める質問
RFQの末尾に、次の質問欄を設けると見積精度が上がります。
- 本RFQのうち、見積もりに使用した前提条件は何ですか。
- 未確定または不足している仕様は何ですか。
- 指定仕様に対して、コストまたは品質面で懸念する点はありますか。
- より現実的なMOQ・素材・構造の代替案はありますか。
- 単価に含まれない費用と、その発生条件を列挙してください。
- 提示価格と納期の有効期限を記載してください。
- 量産前に必要な承認事項を時系列で提示してください。
工場からの質問が多いこと自体は、必ずしも悪い兆候ではありません。重要な仕様の不明点を確認せずに即答する見積もりより、前提を明示して回答する見積もりの方が、量産後の認識違いを減らせる場合があります。
見積比較表で回答を同じ基準にそろえる
複数社の見積もりを比較する際は、メール本文やPDFを並べるだけでは不十分です。調達担当者側で見積比較表を作り、同じ条件に正規化して評価します。
以下は、シェイプウェアRFQの比較表に入れたい主な項目です。
| 比較項目 | 確認内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 製品単価 | 数量シナリオ別、カラー・サイズ別の単価 | 梱包・検品・ラベル費を含むか確認 |
| MOQ | 製品、色、サイズ、素材ごとの最低数量 | 合計MOQだけで判断しない |
| 開発費 | パターン、サンプル、型、印刷版など | 返金・相殺条件を分けて記録 |
| 素材仕様 | 混率、目付、部位別構成、代替案 | 「同等品」の内容を数値で比較 |
| サンプル工程 | 回数、費用、修正範囲、所要期間 | 量産サンプルの承認手順も確認 |
| 生産条件 | リードタイム、発注締切、支払条件 | 起算点と出荷・到着の区別が必要 |
| 品質対応 | 試験、検品、許容差、不良対応の条件 | 合否基準が書面化されているか |
| 梱包仕様 | 個包装、内箱、外箱、入数 | 物流費・破損リスクに影響 |
| 除外費用 | 輸送、試験、通関、追加資材など | 着地原価で再計算する |
| 見積有効期限 | 価格・納期の有効期間 | 原料価格変動の扱いも確認 |
| 対応力 | 質問への回答品質、改善提案、資料の整合性 | 単価以外の実行リスクを評価 |
最安値ではなく「比較可能な着地条件」で判断する
単価が低い見積もりでも、品質試験、検品、ブランド資材、輸送、追加サンプル費用が別建てなら、総コストが高くなることがあります。比較時には、少なくとも次の3つを分けて確認してください。
- 製品原価:工場で製造する商品と標準梱包の費用
- 立ち上げ費用:開発、サンプル、型、版、試験などの初期費用
- 着地までの費用:輸送、保険、通関、倉庫作業などを含む調達総額
同時に、品質・供給・コミュニケーションのリスクも評価対象にします。仕様について具体的な質問が返ってくるか、代替案の根拠が示されているか、見積の内訳が明瞭かは、量産移行後の協業のしやすさを判断する材料になります。
そのまま使えるシェイプウェアRFQの構成
社内でRFQ書式を作る際は、以下の順番にすると、サプライヤー側も回答しやすくなります。
- プロジェクト概要と販売市場
- 製品別の仕様書・デザイン画・寸法表
- 素材・副資材の指定と代替条件
- カラー、サイズ、数量シナリオ
- サンプル・開発工程の希望
- 試験、品質基準、検品要件
- ブランド表示、包装、ラベル仕様
- 納品先、輸送、希望取引条件
- 見積内訳、除外費用、有効期限
- 前提条件、不明点、改善提案の回答欄
製品カテゴリーごとの構造や仕様の整理には、シェイプウェア製品の一覧も参考になります。既存品ベースで進めるのか、補整パネルやパターンを個別開発するのかを先に判断すると、RFQに必要な情報量を適切に調整できます。
よくある質問
RFQの段階で仕様がすべて決まっていない場合はどうすればよいですか?
未確定項目を隠さず、「指定案」と「提案を求める項目」に分けて記載します。たとえば素材が未決定なら、希望する補整感、肌当たり、価格帯、必須条件を示し、候補素材ごとの単価・MOQ・性能差を見積もるよう依頼します。
何社にRFQを送るべきですか?
一律の正解はありません。比較管理ができる範囲で、同一仕様を提示できる社数に絞ることが大切です。社数を増やすより、各社からの前提条件、代替案、品質対応、サンプル工程を丁寧に比較できる状態を優先してください。
RFQと発注書は同じものですか?
異なります。RFQは価格・条件・対応可能性を確認するための見積依頼です。発注書は、数量、仕様、価格、納期、支払条件などに合意した後に、正式に注文内容を示す文書です。RFQの回答をそのまま発注条件とみなさず、量産前に仕様と商取引条件を文書で確定させる必要があります。
サンプル承認後でも量産品との差が出ることはありますか?
あり得ます。サンプルと量産では、生地ロット、裁断、縫製ライン、梱包作業などが変わる可能性があります。量産前サンプル、出荷前検品、寸法許容差、変更管理の手順をあらかじめ取り決め、承認済みサンプルを基準として保管・共有することが重要です。
まずは、製品ごとに「絶対に変えられない条件」「提案を受けたい条件」「未確定の条件」を3つに分けて整理しましょう。その内容を本記事のRFQ構成に当てはめれば、比較しやすく、量産判断につながる見積依頼書を作成できます。





